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45. 自律神経障害 (2)
2006年9月更新
1. 消化管運動障害
糖尿病に罹病してから数年以上も経過してコントロール不良の状態が続くと、胃壁の緊張がなくなって、X線透視撮影を行うと前日あるいは前々日に食べたものが胃から排出されずに残留しているのをみることがある。この状態が糖尿病性胃麻痺といわれるもので、時には胃石ができることもあるといわれる。胃の排出機能の障害は治療の妨げにもなる。例えば食後15分位すると血糖が上昇し30分以後には大幅に上昇すると予測してインスリンなどを注射する場合に、胃麻痺があれば血糖が上昇しないので低血糖を起こしてしまうことになる。したがって胃の排出(1) 食道運動 食道運動をみるために、本郷道夫博士ら(当時、現教授)は食道にopen tip catheterを入れて上、中、下部より水を注入して嚥下波を記録した。健常と比べると図1のような多峰性収縮波や自発性収縮波の出現が有意に多く、No.44に紹介した心拍変動試験異常例では正常例に比べて遠位と中位の収縮波が低いのがみられた。これらにより糖尿病に特徴的なのは多峰性収縮波の出現といえる。 中目千之博士(現、鶴岡市、中目内科胃腸科院長)は食道下端括約圧がテトラガストリンを注射すると上昇することを研究していたが、糖尿病の人の場合にはテトラガストリンによる圧の上昇が軽度で、特に神経障害のある人の場合は反対が悪いことを認めた。
胃は摂取した食物を保留し、蛋白質などの消化を行いながら、十二指腸に排出する。この排出 図3の斜線の部分が非糖尿病者の排出能であり、白丸が自律神経障害のある人達の平均、黒丸は自律神経障害のない人達の平均である。自律神経障害のない人ではむしろ胃排
さて99mTc標識試験食法でもアセトアミノ フエン法でも神経障害のない糖尿病者の胃排出能は亢進している結果が得られた。依田敏行博士(郡山女子大学教授)は早朝空腹時に温水250mLを飲ませてただちに超音波診断装置で胃の横断面積を求め、すぐにさらに250mLを飲ませて500mLの温水が250mLの面積になる時間を求める方法を考案した(図4)。 この方法でみても図5にみるように自律神経障害のない糖尿病では健常者よりも早い傾向がみられた。これらから、糖尿病になったばかりで神経障害もない時期には胃排出能が亢進していることがわかる。一般的に早食いで、したがって血糖が急激に上昇することがわかる。 図6は胃排出が非常に早い例で健常者の範囲より逸脱しているのがみられる。このために血糖値の上昇が急激でコントロール不良となり、胃運動を鎮めることによってコントロール良好となる例もある。
人工膵臓は血糖値を測定しながらグルコースを点滴したりインスリンを点滴する装置である。この装置(Biostator)で血糖値を80~100mg/dLに維持させると、食事をとって血糖が上昇するとその上昇を抑制するためにインスリンが注入される。したがって注入されるインスリン量の推移をみれば胃からの食物排出を間接的に知ることができるわけである。この方法で胃排出の状態をみたのが図7である。図の上の37歳女性では朝食、昼食、夕食をとると、それに対応してインスリンが注入され食後2時間位するとインスリンの注入はみられない。これは胃から食物がまとまって排出され血糖が上昇しようとしたことを示している。図の下の21歳の女性の場合には朝食、昼食、夕食をとっているのに上の例のようにまとまったインスリンの注入がみられず、1日にわたってインスリンがじわじわ注入されているのがみられる。この方の場合は胃から少しずつ十二指腸に排出され、血糖が上昇しようとしてじわじわとインスリンの注入を招いているのである。このパターンは胃の排出 このように人工膵を用いて胃の排出機能を知ることができるので、排出
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