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2. EDIC(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications) (1)
2008年9月更新
DCCTにより、よい血糖コントロールが合併症の発症・進行の防止に役立つことが明らかになりましたが、この効果がその後も持続するかどうかを調べるために行なわれた研究です。
EDICはDCCT終了後に、従来療法群だった患者さんにも強化療法を開始するよう勧めて、その後の経過を長期間にわたり観察した研究です。ここでは4年目までの結果をまとめた報告について解説します。
研究目的
よい血糖コントロールによる合併症の発症・進行抑制効果が、その後も持続するかどうかを調べる。研究の対象
DCCT終了後、従来療法群だった患者さんにも強化療法を開始するよう勧めて、全患者さんは主治医のもとに戻りました。このうちDCCTで従来療法群だった患者さん688人と強化療法群だった患者さん687人の計1375人を対象として行なわれました。研究の方法
患者さんの経過を、DCCT終了時から引き続いて4年間観察し、合併症の現れ方や血糖コントロールの状態などを比較しました。研究期間
1994年~。結果の概要
DCCT期間中についた両群間のHbA1cの差は、1年目で小さくなりその後もあまり差がない状態が続きました。しかし網膜症が悪化した患者さんや尿中アルブミンが増加した患者さんはDCCTで強化療法だった群で有意に抑制されていました。研究結果をもう少し細かくみてみましょう。 血糖コントロール
4年目には強化療法群だった患者さんの95%と従来療法群だった患者さんの75%が強化療法を行なっていました。DCCT開始時点での患者さんのHbA1cは両群とも約9%でしたが、DCCT期間中に強化療法群は血糖コントロールが改善し、EDIC開始時(DCCT終了時)には両群のHbA1cの中央値は強化療法群で7.2%、従来療法群で9.1%でした。EDIC開始後両群の差は小さくなり、1年後には強化療法だった群で7.7%、従来療法だった群で8.1%となり、その後も統計的には有意ではあるもののあまり差のない状態が続きました。 EDICの4年間で平均したHbA1cは強化療法だった群で7.9%、従来療法だった群で8.2%でした(図1)。
図1 HbA1cの推移
網膜症
EDIC 4年目に検査を受けた1208名を対象に、網膜症の進行状態をDCCTと同様に評価しました。 EDIC 4年目ではDCCT開始時と比較して網膜症の悪化が見られた患者さんは従来療法だった群で49%、強化療法だった群で18%となり、DCCT終了時の網膜症の程度を調整すると強化療法だった群で75%のリスク低下が見られました。また増殖網膜症、黄斑浮腫、光凝固のいずれについても強化療法だった群で有意なリスク低下が見られました(図2)。 DCCTでの強化療法の、EDIC期間中の効果をよりはっきりと見るために、DCCT終了時からの網膜症の悪化で見たものが表1です。網膜症が悪化した患者さんは、従来療法だった群で581名中21%、強化療法だった群で596名中6%でした。DCCT終了時の網膜症の程度によらず、強化療法だった群でリスクの低下が認められ、DCCT終了時の網膜症の程度を調整すると全体では72%のリスク低下が見られました。 1~3年目までの検査を受けた患者さんを含めて、網膜症の悪化を1年ごとに見てみると、従来療法だった群と強化療法だった群の差は年ごとに開いていき、4年目では強化療法だった群で70%のリスク低下となっていました(図3)。 網膜症の悪化の内容を詳しく見たものが表2です。例えば重度の非増殖性網膜症以上に悪化した人は従来療法だった群で556名中10%、強化療法だった群で589名中2%であり、DCCT終了時の網膜症の程度を調整すると76%のリスク低下が見られました。 EDICの4年間でレーザー治療が必要になったのは従来療法だった群で6%だったのに対して、強化療法だった群ではわずか1%でした。
腎症
EDIC3~4年目に検査を受けた1302名を対象に、尿中アルブミンとクレアチニンクリアランスを評価しました。微量アルブミン尿(1日の尿中アルブミン排泄量が40mg以上〈毎分28μg以上〉)に進行した患者さんは、従来療法だった群で573名中11%、強化療法だった群で601名中5%となり、53%のリスクの低下を認めました。 アルブミン尿(1日の尿中アルブミン排泄量が300mg以上〈毎分208μg以上〉)の発症も、強化療法だった群で86%のリスクの低下を認め、DCCT終了時に正常アルブミン排泄(1日の尿中アルブミン排泄量が40mg未満)だった患者さんと微量アルブミン尿だった患者さんで同様の結果でした。クレアチニンクリアランスが低下した患者さんは両群ともほとんどいませんでした。(表3) 網膜症悪化と血糖コントロールとの関係
両群ともEDIC期間中の網膜症の悪化はDCCTとEDIC期間中のHbA1cと関係していました。網膜症悪化のリスクはHbA1cが1%上がるごとに、従来療法だった群では2.8倍ずつ、強化療法だった群では2.6倍ずつ上昇していました。
研究結果がもたらしたもの
DCCTで従来療法だった群と強化療法だった群の血糖コントロールは、EDICの期間中はあまり差がありませんでした。DCCTでは強化療法群で著明な合併症抑制が見られましたが、合併症抑制の程度は血糖コントロールと関係していたため、血糖コントロールにあまり差がなかったEDICでは合併症発症の差も小さくなることが予想されました。しかし、DCCTでは強化療法群の合併症抑制効果は研究開始後3~4年の間ははっきりしませんでした。今回の研究ではDCCTでの強化療法群の合併症抑制効果は、HbA1cが上昇してしまったにもかかわらず少なくとも4年間は維持されることが示されました。 これらの研究は、血糖コントロールの結果はすぐに目に見える形で明らかにはならないが、よい血糖コントロールを続けていれば次第に効果が現れ、またその結果は長く続くことを示しています。
The Diabetes Control and Complications Trial/Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Research Group. Retinopathy and nephropathy in patients with type 1 diabetes four years after a trial of intensive therapy. The New England Journal of Medicine. 2000;342:381-389.Abstract(PubMed)
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